ジュウニブンノイチ_Episode 5/12




俺の幼なじみ、小林真奈花のこと。




紹介が一番最後になっちゃったけど、真奈花はいい友達なんだ。
最近はまた頓に「逸斗くん逸斗くん」とうるさい。
わかるけどね、気持ちは…。
うまくいくといいなって願ってるんだよ。いい奴なんだ。



十希はすこし過敏なところのある子だから、あんまりクラスになじめてないみたいで。
クラス、というより、男の子たちに、かなあ。
やっぱり、小学校の時のうわさも、覚えてる子は覚えてるし。
よくない話吹きこむようなヤな子たちも、いるわけで…。
だからなるべく十希と一緒にいて、十希を守ってあげようって思ったの。
だって、十希にはギュってしてくれるママがいないのよ。おばあさまはいるけど!
あ、でも、パパがいないのは私と一緒かあ。
「気にしないの、十希」
お年寄りをバカにしたり、家族をばかにする話、十希はだいきらいなの。
そういう話、いきがってしたがる子って多いでしょ?お世話になってるくせに!ってわたしは思っちゃう。
でも、十希がその日にらんでた子は、話には加わってなかった。
周りの子たちの話に、軽く笑ってあわせてても、目がすごく冷めてたの。
あの人だけ、周りと温度が違ってた。十希をぎゅってしながら、わたし、目が離せなかった。



「ねえ十希、あの人、なんてなまえ?」
「ん?」
「あの、さっき下駄箱で、わたし話してた背の高い、すっとした感じの」
「ああ…広谷くんだよ。広谷逸斗。」
「どんなひと?」
「頭良くて…友達が多そう。よくクラスのやつらが群がってる」
「さっき、話したらね、なんか」
「悪い人じゃなさそう?」
「うん!すっごく、…かっこいい」
「めずらしいね、怖そうって言うのかと思った」
「んー、うん、ん?んー……かっこいい!」
「よかったね」

俺は恋する真奈花を初めて見たけど、その相手が広谷くんなのもなんか合点が行ったんだ。
まさか広谷くんが、逸斗が、俺の親友になるなんて思ってもなかった頃から、
真奈花はずっと恋してる。俺はずっと応援してる。
がんばれ、真奈花。







パパの写真を引っ張り出してみた。
短い髪に細くて色の明るい目、高い背。
パパはママの肩を抱いて、わたしの手を指で撫でてる。ママはわたしをだっこしてる。
ママはカメラに笑ってる。パパはママを見てる。
わたしのことは見てたのかな?
十希のクラスに行く時、今までは何も感じなかったのに、
気になってから、一歩入りこむときに勇気がいるようになった。
だんだん、十希と逸斗くんが仲良くなってから、わたしはその間にはいって三人組。
十希は相変わらずわたしにぎゅっとさせてくれるから、わたしは十希の背中にへばりつく。
逸斗くんは頬杖つきながら十希に話をしてる。とても穏やかな、色の明るい目で。
どこかで覚えのあるこの感覚。
本当は、二人とひとり。



(2010.09 初出)